医学分館では、「島根にもたらされた華岡流医術-大森文庫からみた江戸後期の診療」と題して、企画展示・講演会を開催しました。
期間中は大勢の方にご来場いただき、ありがとうございました。
展示会:
期間:10月3日(月)~9日(日) 午前10時~午後6時
会場:島根大学附属図書館医学分館
講演会:
日時:10月9日(日) 午前10時~午前11時30分
講師:梶谷光弘氏 (出雲市立窪田小学校長)
会場:島根大学医学部看護学科棟N11番講義室
■江戸時代後期島根における医療の実態を紹介
江戸時代後期島根の医学史において,母里藩大塚(現・安来市)の大森家が3代にわたって医聖華岡青洲一門に師事し,その医術を学んだ後に帰郷して地元で医療を行ったことは以前から知られていましたが,その内容は詳しくは判明していませんでした。
医学関連資料として大森家から550冊余の寄贈を受けた島根大学附属図書館医学分館では,大森文庫と名づけて梶谷光弘先生の協力を得て史料の整理を行ってきました。
本年度は文庫の中核をなす医書之部について,島根医学史の研究成果として解説を加えながら紹介しました。
■華岡青洲に関するまとまりある門人コレクションとしてレビュー
1804年,世界に先駆けて麻酔薬「通仙散」による乳岩(癌)手術を行った華岡青洲は,自身の医術を記すことはなかったと言われ,その業績は門人により明らかになるところが大きい。
出雲国から門人となった32名中,華岡流医術に関する史料が保存されているのは,現時点で判明しているところでは大森家のみです。
全国的に見ても,華岡青洲関連コレクションとしてまとまりがあり,所蔵史料を紹介する意義は大きい。
■第30回島根大学医学部“くえびこ祭”と協賛
医学部学園祭である“くえびこ祭”と協賛し,医学企画展示の一つとして展示会・講演会を行いました。
例年,地域の人々に対し,医学を学ぶ学生が身近な医学・医療テーマを取り上げて展示を行っています。
医学分館もこれに参画することで,地元島根の医学史に興味をもっていただけるよう,わかりやすい展示を心掛けました。