公益財団法人手銭記念館と本学山陰研究センター・附属図書館が連携して実施している出雲文化活用プロジェクトは、10月29日、手錢家蔵「大圓菴様御一代御茶事記」の記述を元にして、江戸時代の茶会で出された懐石料理を再現調理、試食するワークショップを行いました。
「大圓菴様御一代御茶事記(弘化二年筆写)」は、雲州松平藩七代藩主・治郷(不昧)が隠居後、江戸大崎別邸で行った茶会のうち五十六回分を記録した会記の写しです。
ワークショップでは、調理師 安藤登さんを講師に迎え、出汁のひき方、包丁の使い方、味付けや盛りつけのコツなどを教えていただきながら調理を行い、江戸時代中期の朱塗り椀、明治初期の輪島塗菓子椀など手錢家に伝わる食器に盛りつけて、試食参加の皆さん全員でいただきました。
茶会の日付から、時期的にハシリの食材や、当時決して当たり前ではなかった冬瓜やモヤシなどが用いられていること、私達が見ると普通の献立のように見えるこれらの料理が当時はとても珍しく贅沢だったこと、調味料も今とは違うことなど、安藤さんによる解説があり、"江戸の贅沢"を体験するワークショップになりました。
参加者: 32名(調理と試食12名、試食のみ20名)
講師: 安藤 登氏(調理師)
献立: 飯 鯛飯 割き松茸
向付 鯛作り、キクラゲ、千生姜(いり酒で)
汁 モヤシ、とうがらし
椀 冬瓜葛煮、柚子
引物 鮑やわらか煮、里芋
香物 奈良漬