図書館ホームページなどでもお知らせしていますが、附属図書館本館(松江キャンパス)展示室にて、「西東文庫」(医学図書館所蔵)の企画展を開催中です。今回は、展示を企画した医学図書館から、見どころなどをご紹介します。
〇西東文庫とは
“Westernization of Japan”(江戸から東京へ:西洋から見た日本の近代化)をテーマとして蒐集された洋書コレクションで、全827冊です。なかには、『大君の都』(Sir Rutherford Alcock)、『菊と刀』(Ruth Benedict)ほか、Lafcadio HearnやBayard Taylor、Mortimer Menpesなどの初版本も擁しています。文庫名はゲーテの『西東詩集』(West-östlicher Divan)に因んでつけられました。今回は、1800年代後半から1900年代前半(幕末から明治期)にかけて出版された図書を中心に展示しています。
〇展示図書
テーマに沿ったイラストや写真が掲載された図書を中心に、70点あまりを選びました。
〇見てもらうには?
展示にあたって、展示図書が「洋書であること」「古書のため、直接手に取ってもらうことは難しい」という点が課題となりました。
〇イラストを拡大したパネル
とくに、明治初期の日本を訪れたイギリスの旅行家イザベラ・バードの「日本奥地紀行」とフランスの実業家エミール・ギメの「日本散策」はパネルによっても紹介しています。明治初期の日本を訪れた二人の記録は、強い関心と深い興味を呼び起こすことでしょう。
〇手に取って読める「拡大版」
こちらは、旅行ガイドブックを展示したものです。内容はとても面白いのですが、図書そのものが小さく、文字も読みづらい…ということで、ご紹介したいページを拡大したものを用意しました。展示ケースの外へ置いたものは、手に取っていただけます。
〇関連図書の貸出
展示した図書には、新版や日本語訳で読めるもの、また、解説や研究を行った関連図書があります。今回は医学図書館、本館が所蔵する関連図書を、展示室入口に配架しました。閲覧・貸出ができます(約60冊です)。来室者のアンケートでは「展示されている図書が読めるとは思わなかった」といった感想もいただいており、館内資料の利用促進につながる側面もありました。
〇「ペリー提督特集コーナー」
展示室の入口から見て正面に、大きな平面の展示ケースがあります。「分類を問わず、大型の図書やイラストや写真が目立つ図書の陳列場所にしよう」ということで陳列作業を行っていたのですが、完成した展示ケースを見てみると…。「ペリー提督の日本回航を報じるロンドン絵入り新聞」「ペリー提督日本遠征記」「黒船絵巻」と、いつのまにか【ペリー提督 特集コーナー】のようなものができあがっていました。
ここに、さらに資料が追加されます。展示をご覧いただいた学内の先生から「ペリー提督日本遠征記 第2巻」についてのご連絡をいただいたのです。西東文庫未所蔵の第2巻は、日米和親条約の写しなどが掲載されています。許可を得て、第1巻と並べて展示しています。
今回の展示を行ってみて、資料の利用促進や新たな情報提供など、企画展示がもたらす効果に驚き、また「資料の公開」の大切さを実感しています。ぜひご来館いただき、アンケートでご意見、ご感想をお寄せいただければ幸いです。 [tnk]