島根大学附属図書館のブログ

島根大学図書館のサービスや催し、身近な出来事などについて、図書館スタッフが写真と共にご紹介します。 

第33回日本資料専門家欧州協会(EAJRS)年次大会に参加しました

 令和5年9月13日〜16日に開催された第33回日本資料専門家欧州協会(EAJRS)年次大会島根大学附属図書館職員2名がオンラインで参加し、島根大学附属図書館デジタルアーカイブ等の紹介をしました。大会の舞台であるベルギーのルーヴェンカトリック大学は現存する世界最古のカトリック系大学で、公式サイト上の写真からはアレンバーグ城(大学の中にお城!)等、美しい建築物がキャンパスに点在していることが分かります。ぜひとも現地に赴きたいところでしたが、諸事情……というか懐事情により叶いませんでした。

 この会は欧州から利用できる日本に関する情報の開発・普及・育成を目的とした国際団体で、毎年テーマを決めて大会を行っています。今年は「Adapting to Changing Trends in Japanese Studies(日本研究の時流に適応する)」をテーマとしており、日本や欧州の研究所や日本文化の研究者の方が多数参加されていました。

 この会に図書館職員が参加することになったきっかけは、当館の貴重資料(桑原文庫『欧米美術行脚』等)を利用された元ケンブリッジ大学図書館の小山騰さんに事例発表のお誘いをいただいたことでした。なかなかない機会なので、喜んでスライド作成等の発表準備にとりかかりました。加えて、お声掛けいただいてから発表までの約半年の間に、桑原文庫にある資料の電子化と公開を行ったり、ジャパン・サーチのギャラリー機能を利用したデジタル展示*1を作成したりするなど、関連する作業もいろいろと進めました。

 当日の発表は「『欧米美術行脚』、桑原文庫、島根大学附属図書館デジタル・コレクション:インターネット時代のリソース」と題し、ジョイント・プレゼンテーションの形式で行われました。まずは小山さんから、明治から大正時代にかけて活躍した美術研究家・桑原羊次郎が欧米各地での美術展示に関わったり美術館やコレクターを歴訪したりした際の旅行記『欧米美術行脚』の紹介がありました。『欧米美術行脚』中のとある写真に付けられた蔵書印の謎を解き明かすくだりは、特に興味深く視聴しました。続けて図書館職員が島根大学附属図書館に所蔵している桑原羊次郎の自著原稿や旧蔵書等から成る「桑原文庫」や、島根大学附属図書館デジタルアーカイブ、上述のギャラリーを紹介し、今後のデジタル化の計画についても説明しました。ベルギーと日本の間に時差、さらにサマータイムがあるため、発表は日本時間夜8時40分ごろからスタート。声から眠さが伝わらないかが心配でしたが、なんとか乗り切りました。発表の様子は、後日EAJRSのYouTubeチャンネルで公開される予定です。

 発表終了後すぐ、欧州在住の研究者の方から本学所蔵資料に対する問い合わせが複数寄せられたことで、オンラインで貴重資料を公開することは海外在住の方の利便性を高めることにつながるのだということを改めて感じています。当館ではまだ撮影できていない貴重資料も多数ありますので、今後も撮影や公開手続きを進めていきたいと考えています。

オンライン発表の様子

(S.Y)

*1:桑原羊次郎の欧米美術行脚~日英博覧会を中心に~桑原文庫「展覧会目録」の世界を令和5年9月14日から公開しています。ぜひご覧ください!