島根大学附属図書館のブログ

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『島根の国絵図―出雲・石見・隠岐―』を刊行  近世~明治初期に島根で作成された国絵図をカラー図版で紹介

 島根大学附属図書館は、現在の島根県出雲国石見国隠岐国で作成された国絵図(古地図)を豊富なカラー図版と解説で構成した『島根の国絵図―出雲・石見・隠岐―』を出版しました。

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 国絵図は、江戸幕府の命で国毎に作成されて幕府に献上されたものです。幕府へ献上されたものの他に、藩の行政目的のために藩独自に作成されたものや、献上図の写しが様々な形で作成され、使用されてきました。

本書は、本学附属図書館が収蔵した国絵図の他に、広く県内外の機関や個人が所蔵する国絵図の写真85点を集め、専門の研究者による解説を加えたものです。さらに、伊能忠敬による「伊能図」を経て、明治初期に近代地図が成立するまでの過程をたどりました。

 島根県の出雲・石見・隠岐の国絵図を体系的に集めて解説した本は本書が初めてであり、また、都道府県単位でまとめた類書は他にほとんど例のない画期的なものです。さらに、本書掲載の国絵図の内、65点を本学附属図書館のデジタル・アーカイブに掲載し、本書を読み進めながらインターネットのデジタル・アーカイブで国絵図の画像を拡大表示して見ることができる他、48点については本学附属図書館で複製版の閲覧ができるようにして、国絵図を詳細に閲覧したい読者の便宜を図っています。


 ○第1章 日本図と国絵図の成立(池橋達雄)
 ○第2章 出雲国絵図(池橋達雄)
 ○第3章 石見国絵図(川本裕司)
 ○第4章 隠岐国絵図(藤原 茂)
 ○第5章 伊能図から近代地図へ(藤原 茂)
 ○第6章 島根の国絵図コレクション(昌子喜信)


 第1章では、古代から近世にかけての日本図の成立過程をたどり、さらに近世に国絵図が成立・発展するまでを概説しています。第2章・第3章・第4章では、出雲、石見、隠岐の各国の代表的な国絵図を年代順に見開き2ページのカラー図版で紹介し、詳しい解説を付しました。
 第5章は、伊能忠敬の全国測量によって作成される「伊能図」について概説し、伊能忠敬の現在の島根県域内での足跡をたどりました。さらに、明治維新を経て、明治新政府が西洋の測量技術と地図作成方法を取り入れながら近代的な地図を作成する過程を解説しています。
  第6章は、本書で取り上げた国絵図のサムネイル写真付きの一覧リストです。全部で85点の国絵図を掲載し、本書で紹介された国絵図の索引として活用していただくことができます。

 ◇発行:今井印刷株式会社
 ◇規格:A4判 174ページ 全ページカラー
 ◇価格:3,675円(税込)

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