島根大学附属図書館のブログ

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田籠前館長の講演会「外と内から見た図書館」を開催しました

 島根大学附属図書館の田籠博前館長による講演会「外と内から見た図書館」が10月24日(土)松江市総合文化センター(プラバホール)において開催されました。

 講演では、研究者としての自らの図書館活用の体験から、利用する図書館資料の種類によって、市立図書館、県立図書館、大学図書館の使い分けが必要であること、また、大学図書館では新しい活用の仕方として、デジタルアーカイブや論文リポジトリなど、デジタル化された情報を活用することができることが説明されました。さらに、大学図書館を知識発見のために活用するためには、知識欲・探求心がなければ、図書館は無用の長物に過ぎず、十分な活用はできないことが語られました。

 図書館長としての経験から、大学内の学部や事務局と附属図書館は、時に緊張関係を持つこともあること、地域社会への貢献は大学全体として進められているが、大学図書館の地域への貢献は今後の課題であることなど、軽妙洒脱な語り口に参加者は時に笑いを誘われながらも興味深く聞き入っていました。

 講演の後半は、日本語学者としての、古典籍や古文書を活用した研究の実際を史料に即して解説されました。

 現代の『出雲国風土記』研究で通説とされる斐伊川の源流の比定が誤りであることを、『懐橘談』『出雲国風土記抄』『雲陽誌』『訂正出雲国風土記』に記述される内容の比較検討をとおして明らにされました。また、正倉院文書に現れる古代出雲の女性名についての考察、産物帳に現れる出雲方言の語彙の考察など、研究の奥深さを感じさせられる興味の尽きないお話しでした。

 

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